永代供養と樹木葬は比較するものではない!関係性と選び方を解説

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「永代供養と樹木葬のどちらを選べばいいのだろう」とお悩みではありませんか?
実は、永代供養と樹木葬は比較するものではありません。
永代供養は「管理・供養の方式」で、樹木葬は「お墓の種類」だからです。
この記事では、お墓のプロが永代供養と樹木葬の関係性について分かりやすく解説します。

〈この記事を読んでわかること〉
● 永代供養と樹木葬の正しい関係性
● 樹木葬の3つの埋葬形式と費用相場
● 樹木葬選びで失敗しないための重要なポイント

記事を読み終える頃には、永代供養と樹木葬の違いが明確になり、ご自身に最適な樹木葬を選べるようになるでしょう。

お墓の口コミ監修者:株式会社ディライト 代表取締役 高橋亮
著者・監修者
株式会社ディライト 代表取締役
高橋 亮

葬儀の人材派遣と集客支援の最大手、株式会社ディライトの代表取締役。20歳で葬儀の人材派遣スタッフとして働き始め、独立。以降約20年間、葬儀、お墓業界の「人の困った」と「集客の困った」を解消し続けている。

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お墓の口コミ編集者:お墓ディレクター2級 竹田勇飛
編集者
お墓ディレクター2級
竹田 勇飛

東京都出身。計400社以上の墓石、葬儀会社と繋がりを持ち、お墓ディレクター2級を有している。消費者に有益な情報を届けたいという想いから、現在「お墓の口コミ」を運営している。

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永代供養と樹木葬は比較するものではない

そもそも、永代供養と樹木葬は互いに比較する対象ではありません。

永代供養とは、お墓の持ち主に代わってお寺や霊園が長期間(永代)にわたって、お墓と遺骨の管理・供養をしてくれる「方式・形態」を指します。

一方で、樹木葬とは墓石ではなく樹木や草花を目印(墓標)にするお墓のことです。つまり、樹木葬とは「お墓の種類の名称」です。

そして、ほとんどの樹木葬には永代供養が付いています。つまり「樹木葬という種類のお墓を永代供養という方式で管理・供養する霊園が多い」ということです。

永代供養付きの樹木葬なら、承継者(お墓の後継ぎ)がいなくても契約でき、将来、無縁仏になる心配もありません。

永代供養とは?

永代供養について、もう少しくわしく説明しましょう。

永代供養とは、今までのように家族が代々お墓を受け継いで管理するのではなく、寺院や霊園が家族に代わって管理してくれる仕組みです。具体的には、日々の読経、お墓の清掃や管理、合同法要の実施などを、霊園が責任を持って長期間(永代)に渡って行います。

「永代供養」という名前から「遺骨も永遠に個別管理してくれる」と思われがちですが、供養自体は永遠に続く一方で、多くの霊園では、遺骨は永遠に個別管理されるわけではありません。

具体的な遺骨の管理方法については、次の章で樹木葬の埋葬形式と合わせてくわしく解説します。

樹木葬とは?

樹木葬は、墓石ではなく樹木や草花を目印(墓標)とするお墓です。桜やハナミズキなどの周りに遺骨を埋葬する、自然に還りたい方向けの供養方法といえます。墓石代がかからないため費用を抑えられ、宗教や宗派を問わない霊園も数多くあります。

樹木葬は、場所によって「里山型」「公園型」「庭園型」の3タイプがあり、3タイプとも永代供養がセットになっているのが一般的です。

また、樹木葬は遺骨の埋葬形式によって「合祀型」「集合型」「個別型」の3タイプに分類されます。次の章では「樹木葬の埋葬形式と永代供養の関係」について解説します。

関連記事:「6種類の樹木葬について徹底解説|費用相場と選び方も紹介」を読む

樹木葬の埋葬形式と永代供養の関係

樹木葬は遺骨の埋葬形式によって「合祀型」「集合型」「個別型」の3タイプに分かれます。そして、これら3つのタイプはすべて永代供養です。

ここで改めて確認しておきたいのは、永代供養とは「家族に代わって霊園がお墓と遺骨を管理・供養すること」だということです。「遺骨が個別の骨壺に入っているか?」「他の方の遺骨と混じり合っているか?」は実は関係ありません。霊園が責任を持って供養を続ける限り、それは永代供養とされます。

それでは、3つの埋葬形式について解説します。

合祀型

合祀型は、一つの区画に複数の方の遺骨をまとめて埋葬する形式です。骨壺から遺骨を取り出して土中に直接埋めるため、他の方の遺骨と完全に混じり合います。

遺骨が他の方と混じり合っていても、霊園は合同法要や墓域管理を行うので永代供養ということになります。

集合型

集合型は、一本の樹木を複数の家族で共有しつつ、区画分けされた個別の納骨スペースに遺骨を納める形式です(1つの納骨スペースに多くの家族の骨壺が納められる)。

集合型では、遺骨は一定期間(13回忌や33回忌まで等)は個別で管理され、期間終了後は合祀されます。合祀された後も霊園は供養を継続するため永代供養ということになります。

個別型

個別型は、1区画に1本の樹木を植え、その下の納骨スペースに自分の家族だけの遺骨を収蔵する形式です(他の家族の骨壺は入らない)。

集合型と同様、個別型も将来的に遺骨は合祀墓に移されるケースが多いです。合祀された後も引き続き霊園が永代供養していることには変わりありません。

このように、遺骨が他の方と混じり合う合祀の状態でも、墓地の清掃や墓標である樹木の管理、日々の読経や合同法要を霊園が続ける限り、永代供養の状態にあるということになります。

樹木葬の埋葬形式別の費用相場

樹木葬の費用は、遺骨の埋葬形式(合祀型、集合型、個別型)によって大きく変わります。以下が各埋葬形式の費用相場です。

埋葬形式 初期費用 年間管理費 他の方の遺骨と混じる時期
合祀型5~40万円不要な霊園が多い最初から
集合型20~70万円数千円~10,000円一定期間経過後
個別型30~120万円5,000円〜10,000円個別管理期間経過後

このように、最初から遺骨が他の方と混じり合う合祀型が最も費用を抑えられます。

個別型は家族専用の樹木の植樹費用、管理費用に加え、遺骨を長期間個別管理するコストが価格に費用に反映されるため最も高額になります。

集合型樹木葬は、他の家族と樹木と納骨スペースを共有するため、費用は個別型と合祀型の中間になります。

当サイト「お墓の口コミ」の調査では、樹木葬を選んだ方の31.5%が契約金額は30~60万円だったと回答しており、これが最も多い価格帯でした。
埋葬形式別では、合祀型を選んだ方の60.9%が「費用を抑えられる」ことを選択理由として挙げています。
年間管理費については、33.9%の方が5千円~1万円未満と回答しています。

樹木葬では「埋葬形式」「合祀される時期」の確認がもっとも重要

樹木葬を検討する際は以下3点の確認がきわめて重要です。
1. 遺骨を個別に取り出すことはできるのか?
2. 他の方の遺骨と「いつ」混じり合うのか
3. 合祀された後の年間管理費はどうなる?

この3点を契約前にしっかりと確認することで、永代供養に関する疑問も解消されるはずです。

永代供養は江戸時代から続く仏教用語で、本来は「法要を絶やさず続けること」を意味していました。現代では承継者不足という社会問題に対応するため、「霊園が責任を持って管理・供養を継続する」という形に発展しています。

この歴史的な変遷により、一般の方が持つイメージと実際の内容にギャップが生じています。霊園側は正しく情報発信していますが、時として利用者の思い込みでトラブルに発展するケースが見受けられます。

下表に「一般の方の先入観」「霊園側の発信内容」をまとめてみました。

項目 一般の方の先入観 霊園側の発信内容
永代供養の定義遺骨は永遠に個別の骨壺に収めた状態で
管理してくれる
霊園が責任を持ってお墓の管理・供養を
継続する
合祀について合祀されると永代供養も終わる合祀後も合同法要や日々の清掃等、
永代供養は続けている
情報の開示霊園の情報開示が少ないと感じている埋葬形式や合祀される時期は
パンフレットに明記している
見学時の説明しっかり聞いていない重要事項はしっかり説明している

永代供養という言葉の響きから、一般の方が「遺骨は永遠に(未来永劫に)個別に管理してくれるのだ」という印象を持つのは無理もありません。特に大切な方を亡くされた直後の辛い時期に、複雑な契約内容を十分に理解するのは難しいでしょう。

一方で、霊園側は伝統的な永代供養の本質である「供養の継続」を現代的な形で誠実に提供しており、契約前に丁寧な説明も行っています。

「埋葬形式」と「合祀される時期」についてしっかり確認することで、遺骨の取り扱いに関するトラブルを避けることができるでしょう。

樹木葬選びで失敗しないための3つのポイント

樹木葬を検討される方が後悔のない選択をするために、以下の3つのポイントが重要です。
1. 埋葬形式と合祀される時期を確認する
2. 家族・親族と事前にしっかり話し合う
3. 現地見学で不明な点を質問する

以下に、それぞれについて解説します。

埋葬形式と合祀される時期を確認する

前章でお伝えした通り、最も重要なのは埋葬形式と合祀される時期の確認です。パンフレットや見学時の説明で以下の点を必ず確認しましょう。

□ 個別管理期間は何年間か(13回忌までか?33回忌までか?等)
□ 合祀後の供養内容(合同法要の内容等)
□ 遺骨の取り扱い方法の詳細

家族・親族としっかり話し合う

樹木葬は従来のお墓とは大きく異なるため、家族・親族の理解が不可欠です。特に以下の点について事前に話し合いましょう。

□ 全員が樹木葬に納得しているか(特に年配の方)
□ 合祀されることへの理解
□ 宗教や宗派の制限があるか
□ 檀家になる必要があるか

現地見学で不明な点を質問する

資料だけでは分からない点を現地で確認することが重要です。

□ 最寄り駅からのアクセス
□ 駐車場の有無
□ 樹木や草花の手入れ状況
□ スタッフの対応

見学時には遠慮なく質問し、疑問点はすべて解消してから契約しましょう。

よくある質問(FAQ)

樹木葬と永代供養の違いは何?

樹木葬と永代供養は比較するものではありません。
樹木葬とは墓石ではなく樹木や草花を目印にするお墓の種類で、永代供養とは家族に代わって霊園がお墓と遺骨を管理・供養することです

永代供養とは永遠に(未来永劫)供養するということですか?

ほとんどの樹木葬では供養自体は永遠に続けられます。ただし遺骨の個別管理は一定の期間で終わる(合祀される)ことをしっかり認識しておきましょう。
● 供養自体は永遠(未来永劫)に続く
● 遺骨の個別管理は一定期間で終わる

遺骨が他の方と混じり合った合祀の状態でも、霊園は清掃や樹木の管理、日々の読経や合同法要を霊園が続けるため、故人は供養されている状態にある、ということになります。

樹木葬は家族みんなで入れる?

遺骨の収蔵数は霊園によって異なります。また埋葬形式(合祀型・集合型・個別型)によっても変わってきます。契約前にしっかり確認しましょう。

まとめ

この記事では、永代供養と樹木葬の関係性、樹木葬の埋葬形式、そして選び方のポイントについて解説してきました。

樹木葬と永代供養は比較するものではありません。

● 樹木葬とは墓石ではなく樹木や草花を目印にする「お墓の種類」のことです
● 永代供養とは、お墓と遺骨の「管理・供養の方式・形態」のことです

樹木葬の埋葬形式には「合祀型」「集合型」「個別型」の3つのタイプがあり、3タイプとも永代供養が付いています。
樹木葬を検討する際は、契約前に以下の3点をしっかり確認しましょう。

1. 遺骨を個別に取り出すことはできるのか?
2. 他の方の遺骨と「いつ」混じり合うのか?
3. 合祀された後の年間管理費はどうなるか?

費用面では、合祀型(5~40万円)、集合型(20~70万円)、個別型(30~120万円)の順に高額になります。遺骨の管理方法と予算を考慮して樹木葬を選択しましょう。

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